空を見上げた日

日食や流星群など、美しいものに感動しないタイプだという自覚はあった。

近年ではSNSの普及につれて、そういったものを写真に収めて投稿したいがために騒いでいる人たちも多いように感じる。

半年ほど前、ブルームーンと日食のタイミングが何十年かぶりに重なるのだ。とかいって友人がわざわざ街灯が無い田舎に行ってまで写真を撮ってきたことがあった。私も誘われたのだが、気乗りせず断ってしまった。

しかし、今回ばかりは私も少なからず興奮していた。本日、日食や流星群などとは比べ物にならない現象が起こるというのだ。テレビではこの前からそのニュースばかりを流している。その影響なのだろうか、今私がいる都内の通りには人がほとんどいなかった。

私も都内から出ることを考えなかった訳ではないが、結局留まることにした。やはり私はどこかズレているのだろう。だが、私は楽しみにしている。おそらく他の誰よりも。さあ、あと少しだ。手にしたラジオが、電波が悪いなりに「もうすぐです。」と告げる。

そして私は空を見上げた。