目は少し閉じたままで

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目が合う。沈黙の3秒間・・・ 「えーーーっ?!」 山内が驚いて飛び起きた。 「え?え?なんでここに柿崎さんがいるの?え?なんで?」 起きるなり騒ぎだして、周りを見渡している。そして「ここ、どこ?」と言った。 「僕の部屋だよ。君は何でここにいるんだ?」 「え!」 この感じだと山内自身もこの状況を把握できていないらしい。 「うそ・・・どうして私、柿崎さんの部屋に?だって、昨日の夜、ちゃんと自分の部屋で寝たんだよ。どうして?」 僕も十分パニックなんだが、それ以上に、山内がパニックになっている。 そして、いきなり「あー!」と叫んで、顔を両手で隠した。 「ちょっと待って、私、こんなかっこで・・・、しかもすっぴんで、すっごい恥ずかしい」 彼女はどちらかというと、落ち着いてクールなイメージを持っていたんだが、今の彼女にはまったくそれが感じられない。そしたら、いきなりベッドの上で正座をして、頭を下げた。 「ごめんなさい。私、どうしてここにいるのか、まったくわかっていないんだけど、考えられるとしたら、私が知らないうちにここに来ちゃった。つまり、夢遊病なのかなって」 そして、ちょっと顔を上げて、上目使いでこちらを見た。 「頭おかしいって思わないでね。それか、もしかしたら、ワープしてきちゃったのかも」 「はあ?」 僕はあっけにとられていた。山内ってこんなこと言うようなやつだったか?いや、会社では頭も切れるし、仕事もきっちりこなすできる女って感じだ。いろんなことに対しても、ダメなことはダメとはっきり言うまじめな人だ。だから、僕なんかはちょっと敬遠しているわけだが。そんな彼女の口からワープしてきちゃったとかって。 「いやいや、そんなわけないでしょ」 まともに受け答えしている自分もおかしくなりそうだ。 「だって、もし、夢遊病なら、足が汚れててもおかしくないでしょ?ほら、汚れてないし。それに、玄関にも靴ある?」 そうだ、しかもよく考えたら部屋に入れるわけがない。昨日はちゃんと施錠した。玄関に行ってみたが、靴は僕のしかなかった。 「ね?やっぱりワープしてきたんだよ」 あんなにあわててたのに、今ではこいつなんだかうれしそうだ。 「ま、いっか。騒いだらおなかすいちゃいました。朝ごはん、作っていい?」 彼女は勝手に自己完結すると、勝手に冷蔵庫を開けて、朝食を作り出した。
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