目は少し閉じたままで

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それから、毎週土曜日になると、山内は僕のところへワープしてきた。目が覚めるといつも目の前で寝ていた。人間不思議なことにおかしいはずのことでも、回を重ねると普通に思えてきてしまうものだ。そして、彼女は毎回、朝食を作って、一緒に食べた後はすぐに帰っていった。意外といっては怒られそうだが、彼女の作る料理はとてもおいしくて、僕は、毎週金曜日に買い出しに行き、彼女に作ってもらいたい料理の材料を用意しておくようになった。 彼女は僕のうちに来るときは、いつも身一つでやってくるので、帰るときは毎回、サンダルとお金を貸してあげ、月曜日にこっそり会社で返してもらうということを繰り返していた。その行為がなんだか秘密めいていて、山内との距離がどんどん縮まっていってたのだ。 そんなふうに3か月が過ぎようとしていた。そんなある金曜日、僕は会社でとんだミスを犯してしまい、上司には思いっきり愚痴られた。ムシャクシャした気分を晴らすために、仕事帰りに一人で飲みに行き、だいぶ酔って帰った後、そのまま雑魚寝してしまった。次の日の朝、当然のように二日酔いで、気分が悪かった。そんなときでも、当然のように山内は現れ、床で寝ていた僕を普通に起こし、冷蔵庫を開けて言った。 「あれ?今日は何にもないじゃん。買ってきてないの?」 その言葉に、僕はキレた。 「なんだよ!つきあってもいないのに、女房気取りはやめてくれよ。だいたい、ワープとかおかしいだろ。体、ベッドに縛り付けておけよ。もう来ないでくれ」 腹立ちまぎれに言い過ぎたと思ったが、それを取り繕う余裕が今の僕にはなかった。彼女の目に涙があふれてくる。 「ごめんなさい」 彼女はそういうと、部屋を飛び出していった。 
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