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ちなみにオクルマというのは、苗字の奥村をもじったあだ名。母親の職場が小学校の通り道だった関係で、頻繁に車で送り迎えして貰っていたことに由来している。
まあそれはさておき、流石にむっとしている気配は伝わったのか、沙月もすぐにやめた。
もっとも、もう少し意識をしてくれ、というのが俺の怒りの趣旨であったが、それはわからなかったらしい。
「……あっ、そうだ! 寝るって言えばさ」
と、あからさまに話題を逸らした。
「『眠り姫の伝説』って知ってる?」
「どの眠り姫の伝説だ」
そういう話なら童話からラノベまで、古今東西に転がっている。
「うちの学校のに決まってるじゃん。告白が絶対成功するっていうおまじないだよ」
その手の話が女子の間で囁かれている、ということに不思議はないが。
「今作った話じゃないだろうな?」
「作ってないよ。ちゃんとテンプレもあるんだから」
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