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◆おまじない
〇〇くんへ。私は貴方の事が好きです。恋人になってくれるなら、××月××日××時××分に△△まで来てください。
〇は好きな人の名前、×と△になっているところには、任意の時刻と場所を指定し、想い人を呼び出す。
手紙のような文面ではあるが、別に手紙である必要はなく、上記の趣旨が相手に伝わっていればよいそうだ。
そして、告白をした側は指定した場所に行き、眠った状態で相手がくる時刻を迎える。
これが『眠り姫の伝説』と呼ばれる所以だろう。
そして――
「目が覚めると、そこには気持ちを受け入れてくれた想い人が――! となるわけですよ絶対に」
「なるほど」
眠ったままその人を待つ、という部分が特殊かもしれないが、正直どこにでもありそうな話に見える。むしろ俺の関心としては、
「試してみたい相手でもいるのか?」
「え? 全然」
沙月はあっさりと答えた。そもそも、このおまじない自体さほど信じていないようである。
こっちとしては、喜んでいいやら悲しんでいいやらというところだ。
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