眠り姫の伝説

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 猫が死ぬ要件は揃っているが、実際に死んでいるからは開けてみるまでわからない。二つの可能性が同時に存在している、という思考実験だ。 「どういうこと?」 「呼び出すための文章には、いくつか条件が用意されてる。日時と場所はわかるとして、この『恋人になってくれるなら』って言う部分。さっき沙月が言ったけど、普通の告白なら呼び出してから意志を伝えるだろ? けど、この呼び出し文では、指定された場所に来ることが恋人の条件になってる。逆に言えば応じないならいない。指定された時間に相手がいるかいないかの二択で、結果が判定されるわけだ」 「でも、その時点で成功するかは半々っていうだけの話よね?」 「うん。だから眠ってその時間を迎えるんだと思う。眠っていて意識がない、目覚めてみるまでわからない。って事は、意中の相手が呼び出しした場所にいるかどうか、その確率は同時に存在している。ということは、観測して確定させるまで、わからないうちは可能性は同時にあるのだから、ある意味告白は成功した、という解釈も出来る」 「え……そんなバカみたいな話って」     
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