吉川菜摘

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「仕事終わりっ。駅まで迎えに来てー」 藤にメッセージを送って、西武新宿線に乗り込む。 「一番線ドアが閉まります。ご注意下さい」 アナウンスと同時にドアが閉まる。 私は閉まったドアにもたれかかってため息一つ。 はぁ、今日も疲れた。 昨日も思ったことだし、多分明日も思うんだろう。 高校の頃は働く女性が格好良く見えて仕方なくて、私も社会に貢献するんだっとか息巻いていた。 ところが、実際は部長にコーヒーを淹れてあげて、あとはずーっとパソコンに向き合う。 お昼に行くのも上司が行ってから、そんな無駄な気遣いばかりの毎日。 理想と現実のギャップは厳しい。 ギャップが激しければ激しい程人は傷ついて、そして臆病になる。 私に足りなかったのは、多分覚悟だ。
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