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11月1日 午前?時?分
朝、すずめのチュンチュン大合唱で目が覚めると、何だか違和感を感じた。ベッドから知らない洗剤の匂いがする。次に感じたのは猛烈な頭のズキズキ。間違いなくこれは二日酔いである。私はうめきながら体をゆっくりと仰向けにして天井を見上げた。
...なんだあれ?天井には見たこともないでっかいシャンデリア。趣味が悪い...
そこまで視覚的に捉えて、ふと疑問が沸く。
...ここは、どこだ?
そして次の瞬間、回転し出した頭に集中していた血液がスタコラサッサと引いていく気配がした。
「...着てるっ!」
息を止めながら布団をバッと引き剥がして、思わず声に出して確認してしまった。誰への弁解かよく分からないがとりあえずほっとした。
ここは誰かの家のようだ。私が寝ていたベッドが大きいことからもなかなか立派なおうちだとわかる。しかし私のワンルームよりも広いであろうこの部屋はひどい有り様だ。なんか高そうな椅子が床に倒れているし、なんか高そうなガラスのローテーブルは粉々だし、なんか...女神の像的なものが床に転がっている。
「ううっ...僕も...らら..」
突然うめき声が聞こえたのて、私は思わずびくっとなって辺りを見回した。
「その声は...東山?」
会社の後輩、東山の声だ。
「どこにいるの?」
うめき声を頼りに近づくと東山はなぜか半分開いたクローゼットの中に丸くなって眠っていた。
「うう...南田さん?ここは一体...オレたちは何者かに薬を嗅がされて拉致されたんですか...?」
「寝起きにそんなお決まりのセリフが出るなんてさすが私の後輩」
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