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「マジでここどこですかね?南田さん記憶あります?」
「いや、ない。頭がガンガンに痛いことから相当飲んだことだけは推測できる。」
私は東山を起き上がらせた。
「とりあえず、誰か探しましょ...」
そこまで言いかけた東山が急に言葉につまった。そして本棚の後ろの方を凝視しながら震えだした。
「え?何?なんなの?見ちゃいけないやつ?」
「ぶぶぶ、部長が死んでる!!」
「えええ?!」
本棚に近づくと、ガウン姿でうつ伏せに倒れた男性の姿があった。
「あ、あの禿げ上がった頭は間違いなく部長!」
その頭には深々と斧が刺さっていた。
「ヒェッ」
ミステリー映画ならここはキャアッと叫ぶところだが私からはそんな声しか出なかった。
「ほ、本当に死んでるの?」
東山は震えながら部長に近づいて屈んだ。脈を確認しているんだろう。冷静に考えれば頭に斧が刺さっているのだから息がないのは明らかなのだが、それでも信じられなかったのだ。
東山はそっと首を振った。落ちていた毛布を部長にかける。
「そ、そんな...」
「南田さん、自首しましょう。」
「ハァ?!」
神妙な気持ちが一気に吹き飛んだ。
「わ、私じゃないわよ!」
「でも南田さんいつも部長の頭かち割ってやりたいって言ってたじゃないですか!」
「そ、それは例えであって本当にするわけないじゃない!」
確かにいつもことあるごとに言っているが、それは誰もが一度は上司に抱く感情なはずだ。それに思うだけで実行したりしない。部長が背中を向けた瞬間に持っていたファイルを振り上げてみたことはあるが。
「じゃあ南田さん昨日の記憶あるんですか?弾みでついうっかり部長と一戦交えちゃった可能性があるんじゃないですか」
私は目を剥いてのけ反った。
「言い方に気を付けなさいよ!記憶ないのはアンタも同じでしょうが!」
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