目覚めた場所

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この「瞬間」という名前の着信履歴がある。俺は恐る恐る電話をかけてみた。 「あ、もしもし?飛んだ?」 電話から女の声が聞こえてきた。 「もしもし。あなたは瞬間さんですか?」 「そうだよ。ひょっとして飛んだ?さっきまで東京ドームシティにいたんだけど、覚えてる?」 「東京ドームシティ?いや、俺は今、六本木ヒルズにいるようなんですが」 「ああ~、やっぱり飛んだか。私といるとみんなそうなるんだよ。だから人を遠ざけているんだけど」 何となく思い出してきた。この女は隣のクラスだったはず。 「どういうこと?俺は、あなたと東京ドームシティにいたのか?」 「そう。でも瞬間移動した。六本木ヒルズまでね。私の影響なんだ。瞬間移動症候群っていう、特殊な病気。自分でも知らないうちに、どこかにいつのまにか瞬間移動するの。で、私に近づいた人も影響を受けて、自分の意思とは関係なく、瞬間移動しちゃうんだよね」 「そんなことがあるのか?あるんですか?」
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