新たな日に

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新たな日に

「しまった…寝過ごした」 結婚式当日、ホテルで目覚めて青ざめた。 予定の時間より、1時間遅い時間。 前夜の、独身最後の女子会で羽目を外しすぎた。 「おーい、大丈夫か?」 あいつの声が聞こえる。 「ちっ!」 誰でも眉をひそめそうな、大きな舌打ちをして飛び起きる。 その勢いで寝室のドアを開けると、扉の前にはあいつがいた。 「っ!!!」 思わず平手打ち。 バシ。 あいつの腕が手を止める。 「まあ、いつもいつも飛んでくるな、さすがに慣れた。」 右手をがっしり掴まれて、動きが止まる。 「会場はそばだし、まだ間に合うぜお姫様。  …なかなか刺激的な格好だな。」 はっと自分の格好を見ると、下着姿なのを確認する。 左手が飛ぶ。 バシ。 今度も止められた。 「さすがに新郎がほほ腫らすわけにはいかんからね。」 「ううぅうう」 両腕を抑えられ、成す術がないわたし。 「伊達に10年以上一緒にいないぜ。久々に両方とんできたけどな。」 「とりあえず、もうちょっと着替えて来なよ」 両腕を取られたわたしは、ぐっとひきよせられ、軽くキスされた。 そこで。 「ぐおっ!?」 必死にドーランで隠していたけれど。 式の最後の集合写真を見ると、うっすら額が赤くなっていた。
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