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消える直前の二人の最期の会話を、もう何度も幸介は頭の中で繰り返していた。
「俺は君たちに出会えて本当に幸せだった」
「私もだよ」
自分は二人に愛されていたのだと―そのことだけは確かに伝わっていた。
「おれも二人の子どもで良かったよ」
伯父夫婦から話を聞いた後、初めて行った両親の墓の前で幸介は感謝の気持ちを伝えた。
成長するにつれて、二人の夢を見ることも少なくなっていた。しかし、幸介の中で二人は生きていた。
涙でぐしゃぐしゃになった二人の笑顔を見るたびに、自分もこういう人でありたいと幸介は思うのであった。
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