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学校に向かって歩いている途中、後ろから私の名前を呼ばれた。
「みーずはっ!」
「かえでちゃーん」
私の名前を呼んだ人物『水橋かえで』はそのまま軽く抱きしめてきた。
「かえでちゃんはいつも朝から元気だねー」
「みずはも私と同じくらい元気じゃーん」
「うーん、ちょっと負けてる?」
「どっちが?」
「私」
「そんなことないってのー!」
二人で笑いあいながら歩く。
「あっ、みずは。あそこ!」
「ん?」
学校の校門近くまで来たところでかえでが指をさした。その方向を見てみると私の一学年上である高校三年生の先輩『速水透』先輩が歩いていた。
「かっこいいねー」
「うっ、うん」
「あっ、みずは。顔赤くなってる」
「なってないよー!」
私は速水先輩のことが好きだった。もちろん恋愛感情の方の意味で。昨年の体育大会や文化祭の運営係で速水先輩と接点のあった私は、係で困ったことがあったらすぐに相談できるようにという体で連絡先を交換していた。
そして、そろそろそれなりに仲良しだと思っている私は今日告白をしようと昨日のうちに連絡をしておいた。告白の予定は放課後の屋上。屋上に出るのが禁止されていないこの高校では告白の定番スポットだ。
今日の放課後、屋上に呼び出しているため今このタイミングで顔を合わせるのは気まずい。私はかえでちゃんの後ろに隠れるようにして少し後ろに下がった。
しかしなんとか隠れてこの場をやり過ごそうとした目論見はうまくいかず、速水先輩に気づかれてしまった。速水先輩は私に気づくと笑顔で軽く手を振ってくれる。私も照れくさいながら軽く手を振り返した。
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