リベンジは夢から

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 例えば、急いでいるとき。前の若いカップルがダラダラ歩くからイライラしたとしよう。 「おらおらおら、どかんかこのがきゃあ」 そんな風に、腹がたったら口に出せたらいいけれど。 小心者の僕は、決して言えない罵詈雑言。実際に人混みの中、身体を密着させて自分たちだけのカプセルにいるようなカップルが、僕の踵をふんで靴が脱げかけ、前のめりになったのに謝罪はない。彼らにとって僕なんか眼中にないからだ。でも、僕は存在するのだ。だから、無礼な態度に向かって一言 「謝らんか。このあほ。こちとら、コケかけとんじゃ。どこ見て歩いてんねん」とか。その時言えたらね。  若いカップルは彼らにとっての小宇宙があるのだろう。 僕だって、まだ若いと思う。アラサーだから。でも、痩せぎすでヒョロリとしている僕は、貧相で老けて見られがちだった。人生に前向きな思考で生きてないから、それが輪をかけて外見に現れているのだろうな。だから20代前半の人間、いやもっと若い10代のカップルからみたらいけてないオヤジだろうな。「小宇宙」からみたらチリかゴミ程度の存在にすぎないのかもしれない。    でも、僕の内面は常に怒りで満ち満ちていたのだけど…。 
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