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ある朝目が覚めたら、そこは温かい布団の中だった。私はまだ眠たかったが、耳元で目覚まし時計がギリギリとうるさく鳴るので、時計のてっぺんを叩いて音を止め、着替えて階段を降りた。私は女子高生だった。
「おはよう、お姉ちゃん、よく寝てたね」
妹が食パンにかぶりついていた。
「何言ってるのよ、全然眠れなかったんだから」
私は冷蔵庫から牛乳を取り出し、カップに注ぐと、電子レンジを500Wで1分間にセットした。
「何?悪い夢でも見たの?」
お母さんが目玉焼きの載ったお皿をテーブルに置いた。
「そうなの、もう、最悪!」
私は自分が眠れなかった理由を話そうしてやめた。そのまま話したら、きっとお母さんは心配する。
「なんかさ、自分が芋虫になった夢見て…」
「うへえ…」
妹がさもイヤそうに顔をしかめた。
「大丈夫?ごはん食べれる?」
お母さんは、ちょっとからかい気味に言った。
「大丈夫、大丈夫。食欲全開!」
私はにっこり笑って、目玉焼きをほおばった。
本当は…
昨日、クラスの男子どもに「ブス」と言われて、鏡を取り上げられたのがショックだったのだ。小さなころから、容姿には全然自信がない。気にすれば気にするほど、周りにからかわれる。本当は、学校に行きたくない。
ちょっと涙が出てきたから、牛乳を飲んでごまかした。
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ある朝目が覚めたら、そこは雲の上だった。一瞬くらっとしたけれど、私は鳥だったので、思い切り羽根を広げてみたら、何とか浮上した。バランスをとるのは、なかなか難しいようだ。
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