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食べられるものは何でも食べた。風で雪が飛ばされ、土がむき出しになっているところを掘ると、草の根っ子が見つかった。転がった木のウロを探ると、芋虫が縮こまっていた。
何とか春まで食いつないでいけそうだ。私は岩陰の虫を探そうと、細い隙間に指を突っ込んだ。ポキッという軽い音がして、激痛が頭のてっぺんまで走った。
指の骨が折れた私は、食べ物を探すことがむずかしくなった。指はどんどん腫れて化膿して、私はおなかが空いて死んだ。
* * * * * * * * *
ある日目が覚めると、そこは真っ暗だった。でも私には目がなかったので、平気だった。でもとても寒かったのでじっとしていたら、ガンガンとものすごい衝撃がして、それが止んだかと思ったら、すっと重力を失った。何かに摘み上げられたのだろうと思ったら、鋭い歯にはさまれて、私はぐにゅっと引きちぎられて食べられた。たぶん私は芋虫だったのだろう。
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