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エリーのいる町
絵描きはため息をついた。
また、絵画コンテストの落選。ここ数年続いていた。
絵描きはまだ若く、他の仕事をしながらでないと生活ができない。まだ、酒を飲める年齢ではないが飲み屋の手伝いをしながら、そこで客のために絵を描くこともある。しかし、ほとんどが酔っ払いの相手をしなくてはならない。店主の計らいで部屋を借りていて、住む場所には助かっていた。店の二階の蔵の奥、前は仕立て屋だったらしく、お針子の子が住み込みで働いていた部屋に絵描きが住んでいる。そこの部屋から見える海はきれいだった。その景色が絵描きを少しだけ笑顔にした。
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