余白

M

来客の荒波に揉まれること6時間。フードコートは昼時を過ぎてもなかなか客足が途切れないので本当に大変である。しかし昼のピークは過ぎたため、ここで1時間の休憩をとることができた。休憩と言っても別段やることはないので、動画サイトでゲーム実況を見て時間を潰す。バイトの休憩はあまり好きじゃない。気が張っていて、バックヤードなんかじゃマトモにくつろげやしない。しかも休憩から戻ると一気に怠さが増す。拘束時間を無駄に1時間伸ばすな、と思うが法律で決まっていることは仕方がない。3本目の動画を見終わるくらいで声がかかった。どうやら休憩は終わりのようだ。営業スマイルと反比例して、怠さは既に二割三割五割増しである。表に戻ると、レジは休憩に入っている間に違う人が入ってしまっていた。仕方がない。洗い物でもするか。洗い場は唯一、思考停止状態でも作業ができるので、いまの気の抜けた俺にはもってこいかもしれない。「ありがとうございまーす！」返却口のお客様にとっておきの作り笑顔で挨拶をする。早く帰りたいけど。