あの日見た空

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あの日見た空

 私は、今会社の屋上に登っている。  あの人が最後に見た空は、私が今見ている空とは違うのだろう。こんなに、滲んで居なかっただろう。  私は、あの人が最後に見た空を見たかった。  光化学スモッグで汚れた空だが、あの人にはどんな風に映っていたのだろう。  空を見上げていた、口元は笑って居た。ただ、もう二度と、話をする事も笑顔を見ることもできない。  溢れ出る涙を拭って、部署に戻る。  もう一度空を見上げる。見上げた空は、何も変わっていなかった。  ここは、川崎駅から、南武線に乗って何駅か行った場所にある会社だ。小さいながらも自社ビルを持つIT企業が、私が務める会社なのだ。今、私は自宅謹慎になっている。私だけではない、私の部署全員が同じ境遇になっている。  自宅謹慎といっても、別に自宅に居なくてはならないわけではなく、連絡が付く場所にいれば良いと言われている。     
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