解明

1/2
前へ
/11ページ
次へ

解明

 妹の葬式は二日後に行われた。大学の知り合い、中高の知り合い、色々な人が来たが私はそのほとんどの顔を知らなかった。  妹の死は結局、自殺ということになった。彼氏は妹が妊娠するまでは優しく振る舞っていたので、嫌疑をかけられることもなかった。妹は妊娠対する悩みに耐えかねて自殺したという馬鹿げた結論を私は警察から聞かされた。  私は葬式に出席しているあいつを見て、その場で殴りかかりたい衝動に幾度となく駆られたが耐え、今後の計画のために連絡先を交換した。 「君には妹がお世話になったから今度、妹との思出話でも」  といったら訝ることもなく交換することが出来た。  涙を流す彼は、はたからみれば、恋人を死なせてしまい、落ち込み悲しんでいるように見えたことだろう。    私はこの二日間考えた。彼を裁く方法について、それと彼の行動について。    そもそも彼には不自然なところがある。  なぜ警察よりも早く妹の部屋に着いたのか。それは妹の死を知っていたからだと私は考えた。  ではどうやって知ったのか、妹の部屋は二十階、地上からは見えない。けれど夕陽が差し込んでいたことから分かるようにカーテンは開いており、妹は逆光になっていた。ということは遠くの建物から部屋の中の写真を撮ることは可能だし、拡大して様子を窺うこともできる。それに妹はカーテンレールに吊られていたのだ。顔も判別できたかもしれない。    
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加