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第3章 おかしな子供
side ヒショウ
オレが初めて発情し、自分の性に気づいたのは13歳の時だった。
大分身体が成長し、押し入れに収まりきらなくなったオレは、ゴミだらけの小さな部屋を母親から与えてもらえた。
その部屋は元々オレの親父が使っていた部屋で、ゴミの山の中にテレビがぽつんとある……そんな部屋。
戸籍すら無いオレは、学校へも行けずにテレビを眺めて毎日をだらだらとやり過ごす。
今時の若い者はどうだ、やれ少子高齢化だ、虐待だの、知識も何も無いオレには、一言も理解できない単語の羅列ばかり。
「だいにせい……?」
それは、とある子供向けの教育番組で出てきた言葉。
人間には[男][女]の他に、もう1つの性があるのだという。
男と女の違いは、かろうじて分かっていた。
お父しゃんが男、お母しゃんが女だ。
[第二性]には、3つの種類が有るらしい。
[α(アルファ)]
[β(ベータ)]
[Ω(オメガ)]
の3種類。
お母しゃんは、ベータというものらしい。
ベータは、1番多い種類で、フツーなのだと母は言った。
お父しゃんも、ベータだったと、母は懐かしそうに呟く。
「……お母しゃん、オレは??」
期待を込めて聞いたが、返ってきた返答は悲しいものだった。
『知らん。キョーミ無かし。』
[キョーミ]とは、なんやろう?
ばり、酷うて悲しかことば言われた気がするんな、気ん所為かな…?
ばり好きなお母しゃんが、オレに酷かこと言うわけなかもんね!
そう思って安心し、オレが微笑むと……
『何が面白かと?…おかしな子やなぁ。』
そう言って、母はまた家から出て行ってしまった。
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