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「信者が共謀して悪さしてないか。法外なお布施を徴収している、怪しげな壺を販売している。そういったことを探ったらしいっす、です」
「税金関係はどうだった? ほら、お布施って宗教法人なら無税部分が多いけど、ここは個人宅にある仏像を拝ませているだけだし。一時所得扱いなのかな」
「そこんとこは孫息子が上手く考えてますね。心付けと言わせているお布施は一律千円。これは入場料という名目になっています。自宅の一部をリフォームして、仏像の展示会場としています。フウ先生の相談料は三十分で二千円。一般的な占い師相場よりも安いくらいです」
「いわゆるスピリチュアルカウンセリングってやつかな」
「フウ先生のは心に響きそうですよ。なにしろ人生の重みがまるで違います」
鳴也が、何事かあれば相談に駆けつけそうな勢いを感じさせた。
「孫息子は高校を出たあと、大学に進学したの?」
「していませんね」
「じゃあ今も同居していると。カッコイイかな」
二つ下の彼に思いを馳せる。
「残念ながら現在は同居を解消しています。引きこもりから脱出して自立したようです。畑の持ち主として事情聴取したとき、フウ先生と一緒に女の人が来ました」
それが空智志真だ。
鳴也が新たなコピーを渡してきた。
裕吾とは二年余り同じ家で暮らしていたが、芙侑の世話を引き継ぐ形で二人が入れ替わっている。以後、裕吾はどこへともなく姿を消している。
彼は安在家を去る前に、パスポートを取得していた。三十歳の裕吾は、現在海外に居るのではと噂されている。
千早はそれらを脳内に叩き込む。
あまり詳しいのも怪しまれるが、フウ先生のお膝元で、一週間の修行コースを体験することになっている。内情を全然知らないのもおかしい。
不信心ではいけなくて、仏像大好き、仏教の修行に興味あります感を醸し出していく必要がある。
つまり。
そういうことになっている。
フウ先生は数年前から宿泊修行者を受け入れ始めた。それは裕吾が参拝日時を定めたように、志真の提案だったと言われている。
裕吾が居なくなった翌年から始まった宿泊修行は、民泊や旅館業を営むような、許可申請や認可を受けるような正式なものではない。
知り合いの家に泊めてもらう。
そのような形を取っている。
宿泊費は取っていない。
食費は相談料として受け取っている。
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