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:yunomu:
「しゃ…じゃなかった、マリサさん、珍しいすね、こっち顔出すなんて」
昂の、苦虫を噛み潰したような顔と、それを面白そうに眺める凌輔の顔。
二人を交互に見てからマリサの方を呆然と見返す祐樹に、
「この人だよ、自分の嗜好と欲求を満たすために、辣腕ふるって今回の企画ゴリ押ししたの」
言いながら、昂は棒のついたキャンディの包装を破り捨てた。
マリサの顔の広さと強引さじゃなきゃ、今をトキメく人嫌いの華道家を、BLなんて企画でもって口説き落とすなんて無理な話だった。
よいしょしてるんだか、持ち上げながら下げてるんだか。
よくわからないような評価を交えながら話す昂の言葉で、企画のいきさつが明らかになる。
「そ。私の肝いりなの!」
大きい胸を必要以上に張りながらそういって、マリサは部屋を見渡した。
「ーで、その大事な企画に、誰を送り込んだの?」
デスクにいる顔ぶれを眺めやって、座ってないメンバーのデスクでピタリと視線がとまった。
「あんたまさか、伊織をやったの?」
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