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:凪瀬夜霧: 「「え?」」  この反応には流石に、真澄も伊織も驚いて顔を見合わせた。もしやこれは、社長……特集の趣旨を説明してない??  瞬間、大いに焦ったのは業界歴の長い伊織だった。  流石に雑誌の趣旨も説明せずに記事を掲載なんてできない。  下手をすると訴訟問題だ。 「BL……というのは?」 「あの、お尋ね致しますが朱雨さん……ウチの社長からどのような説明を受けたのですか?」 「今、女性に人気の男性を取材し、仕事や恋愛観などのインタビュー記事を載せたいという説明だが」  ……うん、間違ってはいない! いないけれど、肝心な部分が抜けている! 「当社がどのような雑誌に、その記事を掲載するかの説明は?」 「ない」 「マジかよ……」  引きつった顔をした伊織は溜息をつき、もの凄くかいつまんで雑誌の趣向や、どのような人をターゲットにしているのかを説明すると、朱雨は見る間に顔を赤くしていった。 「な! それ、は……ぐっ、オレはそんな趣味は……だがしかし、一度引き受けた仕事を放り投げるのはプロじゃない!」  散々に悩みまくった朱雨は葛藤の末、くわぁ! と言い切った。 「いいだろう、その趣旨で異論はない!」 「おぉ、男らしい」  密かにパチパチ拍手した伊織の横で、真澄もまた意外な男らしさを見せる朱雨に拍手を送るのだった。
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