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：凪瀬夜霧：
その頭に、誰かがふわりと手を乗せる。慰められているような、元気付けるような穏やかな動きでポンポンと撫でられて、真澄は思わずそちらを見た。
紅月邸で見せた不遜さなどない様子で、伊織が真澄の頭を撫でている。
泣きそうな顔は見ないように、健吾を見つめたままだ。
「もぉ、健吾さん苛めないでくださいよ。ホント、外面と内面が違い過ぎるんですから」
昴も相変わらず守るように前に立っていてくれて、その横には祐樹が気遣うみたいに腕を引いてニッコリ笑った。
「物の価値は値段じゃねーよ。そういう事を見失うと、そのうち痛い目に合うぞ、健吾」
睨むような昴の言葉は、真澄の心にどこか染みるように嬉しくて、我慢している涙がこぼれてしまいそうだった。
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