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:亜衣藍:
「よ~し、じゃあ乾杯――の前に、本日の主役から一言もらおうか」
昂がそう言うと、真澄へ全員の視線が集中した。
初対面の相手ばかりで緊張する筈だが、何だか今日一日色々あったせいで、気分は大分ラクになった。
真澄は周囲へニコリと笑うと、その場に起立し、大きな声で自己紹介をする。
「えー、本日から安藤出版で、皆さんと一緒に働くことになった佐野真澄25歳です! 田舎で一回就職しましたが、どうしても東京で働きたくて思い切って上京しました! 俺が一番の新人だと思うので、どうぞ皆さん、俺の事は佐野ではなく真澄と呼んで、ビシビシ指導して下さい。それでは――――乾杯!!」
「「乾杯っ」」
あちこちで、グラスの合わさる音が鳴った。
フゥと息を吐いて真澄が着席すると、隣に陣取った凌輔が早速話し掛けて来た。
「佐野さ……じゃなくて、真澄でいいんだよね」
「はい、勿論! 」
「真澄は25だったんだね! 僕は20だよ……てっきり、同じくらいだと思ってた」
「ははは、何だか、童顔なのか妙に若く見られるんですよ~」
「僕はね、視力が悪くて……だからほら、目つきがちょっと悪くなっちゃうらしくて、逆に上に見られる方だよ」
すると、対面に座っていた祐樹が『えっ!』と目を見張った。
「凌輔さん、俺より下だったんですか!? 」
「そうだよーまだ20だよ~」
「マジですかー!! 俺22ですよ! 今回、BLのマンガと小説の担当押し付けられちゃて、どうしたらいいか相談相手になってもらおうとしてたのに~」
相手が20では、BLの知識など無いだろう。
そう嘆息する様子の祐樹に、それまで無言だった昂がタバコをふかしながら、
「……さて、それはどうかな」
と、呟いた。
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