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:yunomu: 「伊織さんって…飲むとそんなになるんですねー」 「そんなって、どんなだよ?」 「はいはい」と、肩にもたれかかって絡む押し付けられた荷物をあしらいながら、真澄は今日のことに思いをはせる。 「最初はBLって戸惑いましたけど…今も戸惑ってますけど」  紅月邸へ向かう道中は戸惑い以上に逃げ出したいくらいの気持ちだった。  けれど、朱雨と伊織のやりあいをいさめるときに、自分が言った言葉が、はからずも胸に刺さっている。  それに……何か事情を抱えながらも、華道家として立派にインタビューに答える紅月朱雨の姿も頭にある。 「それはそれで…やりようがあるんじゃないかなって…」 「ふぅん?」  興味深そうに伊織は続きを促す。 「プロになりたいんです。何か、人に求められるものを作り出すプロに」  いつの間にか、昂や凌輔まで二人の会話に聞き耳をたてている。 「プロ、ねぇ」  伊織が酒くさい息といっしょに吐き出した言葉は、紅月邸でのものよりは幾分やわらかい。 「んじゃあ、まっすーには、BLのプロになってもらおっかなー」  向かいで聞いていた凌輔が、そう言っておもむろに立ち上がってニヤリと笑ってから、 「BL的視点に立ってみるとー。ここの三人に、お持ち帰りされるなら、誰がいーい?」  昂、伊織、それから自分を指差して真澄に迫った。
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