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:響平:
振り向いた先にいたのは、やけに背が高くて。やけに綺麗な男だった。
黒髪のポニーテール。雪みたいな白肌に、整った鼻に薄い唇。
少し哀しくも見える冷たい目が、やけに印象的に見える。
「えっ……あの……?」
受け取り、声をかけようとすれば。
男はすぐに踵を返し、ここから立ち去ってしまった。
……多分。同じところに住んでるんだよね?
男が立ち去っていった方を見る。
……。
あれ、木刀だったよね。
男の腰の脇に刺さってたのは。
紛れもなく木刀。
さすが、東京。
いろんな人がいるんだ!!
うん。
そう思おうっ!!
そう。
今日は、初出勤の日。
なんて、いい天気っ!!
最高な気分で仕切り直す。
広がった青空を仰ぎ見る。
なんて、気持ちいい。
──この時は、まだ。
これが、俺の人生を左右する様々な人々との出会いの最初の1ページになるなんて。
夢にも思わなかったんだ───。
◇◆
気分最悪。
……これが。
満員電車と言うヤツかっ!!
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