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:亜衣藍:  しかし、その後すぐに、真澄は後悔してしまう。  所謂、タチとはBLでいう所のオトコ役で、ネコとはオンナ役であり~と、健吾が事細かに解説を始め、またそれを、周りに人が居ようが居まいが関係なしに喋り出したせいだ。  まぁ、周囲の人全員が、こっちの言う事に聞き耳を立てているワケではない。  大多数が、関心も払わずに行き来しているが――――中にはやはり、真澄と健吾の会話が耳に入ったか、ビクッとしている人もいる。  さすがに居たたまれず、真澄は「ちょ、ちょっと、健吾さん! ストップ! 」とギブアップした。 「なんだ? 聞きたかったんじゃないのか? 」 「そ、そうですが……続きは、会社に着いてからでいいです…………」  どうやら、健吾は真澄の七面相が面白くて喋っていたらしい。  クスクス笑いながら、真澄の耳元へ口を寄せた。 「ゴメンゴメン。真澄って、何だかイジメたくなるんだよな~」 「……もう! 揶揄わないで下さいよ! 」  それにこの距離は、幾ら満員電車でも――――近い。
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