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:yunomu:
二日酔いのせいだけではない頭痛を抱えて真澄が部屋に入ると、既に、席に着いている人の頭が見えた。
まずは、一番奥の編集長に声をかける。
「山吹編集長、おはようございます」
「…おはよ」
こちらも、心なしか具合が悪そうだ。
「昨日はあれから、凌輔さんと飲み直されたんですか?」
まだ姿の見えないその人の名前をあげると、
「今日1日、俺の前でその名前はいうなよ」
最高に機嫌の悪い、唸り声のような声でそう脅してきた。
「…はい!」
何があったのかはわからないけれど、触らぬなんとかに祟りなし、だ。
―――― 一方で。
こちらにもこめかみを押さえた人が、ひとり。
「頭、いった~い…」
「祐樹、おはよ」
昨日、飲み屋に放置されてからどうしたんだろうか。
その割には、スーツもシワがなくきちんとした格好で。真澄は少しそれが気になりながらも、もう一人の行方を訊ねてみた。
「伊織さんは…まだでしょうかね?」
直接、仕事の指示をあおぐのは伊織だと昨日伝えられていたから、件の先輩の姿を探す。
「伊織さん…今日は午後から来るそうです」
「あいつ…二日酔いで重役出勤とはいい身分だな!」
昂の、絞り出すような声が怖い。
「ちがっ…」
なぜか、祐樹が伊織のことを庇うように立ち上がって――――。
皆の視線を集めたことに、ハッとして座り直した。
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