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:亜衣藍:
パラパラと資料を捲って行くにつれて、段々に指が止まっていった。
(え、えぇ~……って、これは――マジか!? )
真澄は、カルチャーショックに打ちのめされていた。
世の中には、真剣にBLというモノに心血を注ぎ執筆する作家がいるのだが、如何せん普通の男性とは距離の有るジャンルだ。
当然、真澄とは殆ど接点のなかった世界である。
しかし手にした本は、マンガも小説も含め、非常に衝撃的な内容だった。
全てフィクションだろうと思ったら、何冊かはノンフィクション系の真面目な内容の本もあった。存外、奥が深い。
(これが、BLか……しかも、こんなにたくさんあるなんて――――)
道中、健吾に揶揄い交じりに言われた事を思い出す。
――――ネコだとか、タチだとか。
(そうか。恥ずかしくて大部分を聞き流していたけど、知識のないオレにも分かるように丁寧に教えてくれてたんだな……)
ちょっと意地悪な人だと思ってしまったが、どうやら誤解していたらしい。
今度会った時は、礼を言わないとな……と、真澄は思った。
すると、コンコンと扉がノックされ、昨夜居酒屋に置き去りにされてしまった祐樹が、ひょっこりと顔を出した。
「どう? マンガや小説、参考になってる? 」
「ああ、はい! 」
「そっか。よかった」
そう言うと、祐樹はニッコリと笑った。
三原祐樹の担当は、BLマンガと小説だ。
ここにある資料の半分近くは、彼が集めた資料である。
「凄いですね~こんなに充実して資料を収集できるなんて……」
確か、彼は自分と同じ新人だったはずだ。
それなのに――と感心していたら、祐樹は『ハハッ』と照れ笑いした。
「伊織さんがね……昨夜もだけど、あの人ああ見えて、人一倍面倒見がいいから……」
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