7

3/19
前へ
/128ページ
次へ
:亜衣藍:  パラパラと資料を捲って行くにつれて、段々に指が止まっていった。 (え、えぇ~……って、これは――マジか!?  )  真澄は、カルチャーショックに打ちのめされていた。  世の中には、真剣にBLというモノに心血を注ぎ執筆する作家がいるのだが、如何せん普通の男性とは距離の有るジャンルだ。  当然、真澄とは殆ど接点のなかった世界である。  しかし手にした本は、マンガも小説も含め、非常に衝撃的な内容だった。  全てフィクションだろうと思ったら、何冊かはノンフィクション系の真面目な内容の本もあった。存外、奥が深い。 (これが、BLか……しかも、こんなにたくさんあるなんて――――)  道中、健吾に揶揄(からか)い交じりに言われた事を思い出す。 ――――ネコだとか、タチだとか。 (そうか。恥ずかしくて大部分を聞き流していたけど、知識のないオレにも分かるように丁寧に教えてくれてたんだな……)  ちょっと意地悪な人だと思ってしまったが、どうやら誤解していたらしい。  今度会った時は、礼を言わないとな……と、真澄は思った。  すると、コンコンと扉がノックされ、昨夜居酒屋に置き去りにされてしまった祐樹が、ひょっこりと顔を出した。 「どう? マンガや小説、参考になってる? 」 「ああ、はい! 」 「そっか。よかった」  そう言うと、祐樹はニッコリと笑った。  三原祐樹の担当は、BLマンガと小説だ。  ここにある資料の半分近くは、彼が集めた資料である。 「凄いですね~こんなに充実して資料を収集できるなんて……」  確か、彼は自分と同じ新人だったはずだ。  それなのに――と感心していたら、祐樹は『ハハッ』と照れ笑いした。 「伊織さんがね……昨夜もだけど、あの人ああ見えて、人一倍面倒見がいいから……」
/128ページ

最初のコメントを投稿しよう!

43人が本棚に入れています
本棚に追加