校長先生の花瓶

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 あたしはハナ。ここ大島小学校で名を馳せる美少女探偵。黒いセルフレームのメガネは知性の証。あたしにかかればどんなトラブルもいちころよ。  そんなあたしの近くでは、今日も小さな事件が起こったの。 ★ ★ ★ ★ ★ 「うひゃぁっ!」  給食を食べてめいっぱい遊んだ昼休みの後の、かったるい掃除の時間はアキトの素っ頓狂な悲鳴で始まった。 「どうしたアキト」 「変な声出さないでよ、びっくりしたじゃん」  ほうきやちりとり、ぞうきんが入ったバケツを持った六年三組の当番たちがぞろぞろと尻もちをついているアキトと、その隣で応接室セットに張り付いたように固まってしまっているヒロキの周りへ集まる。  もちろん、あたしも。  そして目の前に広がる光景に、だれもが息を飲んだわ。  昼下がりの校長室。大きな校長先生の机にあったはずの、お高いと噂の花瓶が花と一緒に床の上にぶちまけられていたから。  なんで高いかって知ってるかって?   そりゃ校長先生が自慢してたの聞いたからよ。  そのご自慢の大きくて立派な青い花瓶は、見るも無残ってこういうことかと納得するくらい木端微塵だった。 「あーあ、割っちゃった」  肩下まで伸びた髪を指先に絡ませて遊びながらつぶやいた。  そんなあたしの声は、静まり返った室内に案外大きく響いて聞こえる気がする。  それが合図になったかどうかは分からない。 「……アキト、お前、これ……」
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