#02 もうひとつの人生

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#02 もうひとつの人生

二〇##年 九月三十一日 午後五時五十五分。 指定した時刻まであと五分。 今日この時間この場所に私はいる、というメッセージを送ったのは昨日のことです。 あと、四分、三分、秒針が周回を重ねる毎に心臓の鼓動が早く強くなっていきます。 二分、一分・・・・・・・・・、そしてついにその時がやってきました。 すべての感覚器官は、この部屋のわずかな変化も逃すまいと感度が最大限に高まっています。 誰かがここへ来るのか、それとも返信メッセージがあるのか、物音は、話し声は、足音は、光は・・・。 しかし、何事か起ることはなく、時は一分、二分と過ぎ去って行くばかりです。 五分、十分、そしてついに一時間が過ぎても、この場に誰かが訪れることはなく、メッセージが送られてくることもありませんでした。 (やはりあのメッセージは届いていなかったのか、それとも……) 今までの経験からメッセージが届かかった可能性は低いと考えています。 現に一度だけ、返事は返って来たのですから。 しかし、仮にすべてが上手くいっていたとしたなら、…………返事は返って来ないかもしれません。 とにかく自分がすべき事は果たせたはず。     
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