#04 邂逅 (かいこう)

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#04 邂逅 (かいこう)

〈異常〉の文字を目にするのがすっかり日常となってしまった日本の夏ですが、今年の夏はまた格別でした。 近年では、雨が降らないとなったら二、三週間全く降らないというのも珍しくはないのですが、この地域ではすでに二ヶ月近く雨が降らない日が続いているそうです。 僕がここに来たのは四日前、おじいちゃんの葬儀のためでした。 葬儀自体は滞りなく終わったのですが、相続等の手続き等が案外複雑で、両親がそんなこんなから解放されるまでにはもうしばらく掛かりそうです。 僕はといえば、親類縁者の応対とご近所さんへの挨拶を任されてはいますが、それ以外特にすることもありません。 さらに葬儀から四日も経てば訪れてくる人もほとんどいなくなってしまいます。 何かないかと探した挙げ句、僕は暇つぶしに〈以前の実家〉へと出かけてみることにしたのでした。 〈実家〉というのは僕のではなく父の実家、要するにおじいちゃんの家なのですが、〈の〉というのは、それが今はダムの底に沈んでしまっているからなのです。     
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