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「バタン」とドアが開く。
「あの講義、マジつまんねえんだけど」
「別にいいじゃん。単位さえ取れれば」
「それよりさ、一番前に座っていた娘、知ってる?」
「どの娘?」
水道から「ジャー」と水が流れる音がする。
「いつもギターケース持って来てる、前髪切り過ぎちゃったって感じの娘」
「ああ、彩香ちゃんのこと?」
「俺さ、ああいう娘がタイプなんだ」
「へえ、意外に、お前って……」
「バタン」とドアが閉まる。
再びトイレに静けさが戻る。
「行ったか……」と大地が呟く。
大学生になり、三ヶ月が過ぎた。
僕は最近、ここで昼メシを食べることにしている。
四方を壁に囲まれた、この狭い個室で。
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