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僕は、バッグの中から、ゆっくりと弁当箱を取り出し、そして、弁当箱の蓋を開ける。
この瞬間が一番注意を払わなければならない。
なぜなら、急に誰かが入ってきて、驚いた拍子に弁当箱をひっくり返してしまう恐れがあるからだ。
蓋を慎重に開ける。
落っことさないように、慎重に、慎重に……。
その時、「カラン」と音がした。
僕は「しまった!」と思った。箸を落っことしてしまった。
箸は床をコロコロと転がって行き、隣の個室へと消えていった。
「どうしたらいい?」
自分にそう問いかけた。
いまここから出て隣の個室へ行き、箸を取って帰って来る……というのはリスクが高い。
僕は溜息をつき、「仕方ない、素手で食べるか……」と呟いた。
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