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「バタン」とドアが閉まり、トイレに静寂が生まれる。
「行ったみたいだね」と大地が言う。
「じゃあ、食べようか」
僕はバッグの中から弁当箱を取り出す。以前より動きがスムーズになった気がする。
「キミってさ、もしかして弁当作ってるの?」と隣から声がする。
「うん、そうだよ」
「偉いな」
「キミは?」と僕は問い返す。
「もっぱらコンビニ」
「今日は? なに食べてんの?」
「カレーライス」
「カレーライス? 勇気あるぅ~」
壁一枚隔ててのランチトーク。
僕にはその会話のひとつひとつが楽しくてたまらなかった。
それは確かに……普通じゃない状況ではあるけれど――。
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