Feel Bad

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目の前の光景が信じられなかった。 昨日は大学の友達との飲み会で、朝起きられるか心配だって大和くんが言ってたから…… 念の為待ち合わせ時間の前に何度も電話したけど繋がらない。 だから合鍵を持って、起こしてあげようと思って大和くんの部屋に来た。 ……そしたら、この状況。 大和くんが必死に何か言ってるけど……耳に入ってこない。 だけど妙に頭が冷えていくのを感じた。 私は大和くんの方を見る事なく、カバンから携帯を取り出す。 そして画面を操作して平井くんに電話をかけた。 「平井くん?急にごめんね……この間言ってた合コンっていつだった?今日?……今からでもいける?」 「ゆ、ゆめ!?」 「うん……お願い」 電話を切ると合鍵を置いて、追いかけて来た大和くんを振り切って部屋を出た。 ……で……とりあえずどうしよう……? 今から……。 オートロックの扉を通って部屋の前まで行くと、勢いよく扉が開いた。 「ゆめ!?大丈夫!?」 千紗ちゃんは青ざめた顔で心配そうに私を見ている。 「…千紗ちゃん……朝からごめんね……」 「何言ってんの!?ほら、入って!」 千紗ちゃんがカフェオレを入れてくれて、並んでソファに座った。 「……どういうことなの?大和が浮気って……」 「……分からない。でも……さっき家に行ったら、裸で女の人と……」 「意外とやるじゃん。坂上」 いつの間にか主任が寝室から出てきて、キッチンで水を飲んでいた。 「悟!?…って、ゆめ来るから服着てって言ったでしょ!?」 声に怒りを滲ませる千紗ちゃんだけど、主任は気にしていないという風に。 「下は履いただろ」 「ほんっと最低!!ゆめ、ごめん……ゆめ……」 いつも通りの、ケンカばっかり……でも幸せそうな二人。 二人を見ていたら……急に胸が苦しくなって、 堰を切ったように涙が溢れてきた。
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