Feel Bad

「有村さん！場所すぐ分かった？」
「平井くん、大丈夫だよ」

平井くんがメールで送ってくれた場所で待ち合わせた。

……大和くんのこと、何も聞かない。

もう聞いたのか、もしくは何かあったのかと思って気を遣ってるのかもだけど……でも、
平井くんって多分けっこう軽い人なんだと思う。

主任ほど派手じゃないけど、彼女いない割には遊んでるっぽいし。

「どうしたのー？ボーっとして」

隣の男の人に声をかけられてハッと我に返る。

「有村さんはボーっとするクセがあるんすよ。ね？」
「う、うん……」

すかさず平井くんがフォロー入れてくれた。

……せっかく来たんだから、楽しもう。

「平井と同い年？」
「いえ…21です」
「若っ！！俺、25！」
「えー若く見えますよー」

……合コン、初めて来たけど、こんな感じなんだ。
……大和くんも、行ったことあるって言ってたな……。

モヤ

途端に広がる黒いモヤを振り切るように、持っていたグラスを煽る。

「おっけっこうイケる口！？じゃあ次コレ頼もー」
「…有村さん、大丈夫？」
「うん！平井くんも飲んでるー？」

隣に座ってる人がどんどん喋りかけてくれる。

「あそこにこの間パンケーキのお店出来たじゃん。行ったことある？」

……大和くんに、行きたいって言ってたお店。
本当なら今日一緒に行ってたはずなのに……。

「……トイレ行ってきます」
「場所分かる？着いて行ってあげるよ」

ふらつきながら席を立つと、隣の人が手を貸してそのまま付いてくる。
そして廊下で肩に手を回された。

「ね、このまま二人で抜け出そうよ」
「……や……」

……いや？
違うよ……そうだ、浮気しに来たんだった。

だから、別にいっか……。