Addicted to Love

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Addicted to Love

例えばコーヒーや、チョコやアルコール 摂りすぎるとそれナシではいられなくなるみたいに 恋愛も同じじゃないかなって思う。 付き合う前の、絶妙な距離感とか。 ひとつひとつの仕草や言葉に意味を探す楽しみとか。 会えない時の、会いたいと思う時間とか。 見つめ合って……あ、落ちた、って思う瞬間。 穴にストンとボールがハマるように、スイッチが切り替わるように……あるんだよね。 その瞬間が、堪らなく好き。 「もうアレだね。恋愛中毒」 同期の清水ふうこがパンを頬張りながら言う。 私はその前で人差し指を振ってみせた。 「違うのよね。どっちかっていうと、ときめき中毒?」 「ああ。そういえばあんたって、気に入った男をオトしてはすぐ振っちゃうんだっけ?」 「…失礼ね。私はいつも…」 ケラケラ笑うふうこに反論しようと思ったけど、やめた。 私はただ、あの付き合う前の駆け引きの時間が好きで。 胸がきゅーんってなるあの感覚を味わいたいだけ。 それはあまり人には理解されない趣味なのかも。 「あーあたしもときめきたーい!」 「結成する?ときめき隊」 「いいね!えみが隊長ね」 「何言ってんの!しみこの方が…」 「何の話?めっちゃ楽しそうだけど」 ドキッ 「蜂谷くん!女同士の話よ!」 「ってか清水さんってしみこって呼ばれてんの?おもろいね」 「可愛いでしょ、私がつけたあだ名」 「うん。俺もしみこって呼ぼう。笑」 ……ああ、今ほどしみこが羨ましいと思った事はない。 自分でつけといて、可愛くないあだ名って今まで思っててごめんね。 「あ、そうそう!同期会、今度の金曜にやろうかって連絡に来たんだった」 「りょーかい!」 「ありがとう、蜂谷くん」 最上級の笑顔で見送って蜂谷くんが行った後……しみこがじっと私を見つめている。 「……中毒者の目になってるよ」 「恋する乙女の目、でしょ」
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