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「せんぱーい!私最初は、先輩って自信家で嫌味なぐらい何でもできる人だって思ってました!」
「……その話さっきも聞いた。鈴木って、酒グセ悪いヤツだったんだな……」
……普段はそんなことないんだけどな。
この間はヤケ酒だし緊張もしてたし……あれ?今は?
「…とにかく先輩も過去を引きずったりする女々しいとこもあるんだなって……でもそのおかげで、私も後から後悔しないようにって思えたんです。ほんとに先輩のおかげなんですよー!」
「さり気に貶してるだろそれ…」
「私今までは自分からグイグイ行くなんてほんとに……」
言葉の途中でグラスを奪われて、頭を掴んで近くに引き寄せられる。
ドキッ
「ハイハイ、わかったわかった!お前はよく頑張ったよ!」
そのまま頭をくしゃくしゃ撫でられた。
またボサボサ…!!
っていうか前から思ってたけど、先輩ってスキンシップ激しい!!
……その度に、あたしの心臓はきゅんきゅん過剰反応してしまうというのに……。
「言っとくけどな…俺も確かにより戻したいって思ったけど、大学からずっと好きだった訳じゃないぜ?」
「え?」
「お前が蜂谷のこと好き好き言ってるの見てたら、なんか昔の気持ちを思い出したっていうか……だから俺が頑張れたのも、お前のおかげだよ」
至近距離で、余裕の顔。
「俺も途中からは蜂谷に敵わねーのわかってたし、最後の方はただスッキリしたかっただけなのかもな」
……あ、そっか。
なんか妙に納得した。
あたしもそうだ。
失恋が分かっていっぱい泣いて自分の中では終わってて、それでも気持ちを伝えたのはスッキリしたかったからなんだ。
……それと……
ちゅっ
私……途中からは、先輩に頑張ったって言いたくて頑張ってた。
「……先輩に褒めてほしくて……」
「……この、酔っ払い……」
珍しく真っ赤になって、私がキスした唇に触れている。
それから目を上げると、
見つめ合って……
穴にストンとボールがハマるように、スイッチが切り替わるように……
落ちる、瞬間
……大好き。
・:*+.End.:+
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