3話 この夜空にきらめきを

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3話 この夜空にきらめきを

第3話  オレンジ色の街頭が照らす夜の歩道を、彼は足早に歩いていた。 (アルバイトの子を先に帰しておいて正解だったな) 時間はもう十時を過ぎている。教室に居残ってふざけていた子供たちの相手をしていたら、こんな時間になってしまった。  彼は小学生、中学生を対象にした個人塾を経営している。子どもひとりひとりに親身になって教えてくれる、と定評があり十年ほど前までは生徒が多くいたが、駅前に大手の進学塾ができてからは生徒の数は減る一方だった。  今日残っていた中二の男子たちは、成績でいうなら中の下。正直、本人たちは勉強にやる気はほとんどない。塾に来るのは親に言われたからと、友達がいるからだろう。くだらない話題でいつまでも笑っていられる少年たち。頭の中は未だに小学生だ。悪ガキだが、スレたところがなく、人なつこいところが憎めない。  彼は歩道から公園の中へと入る。公園を突っ切って歩いた方が自宅のマンションまで近道だからだ。自宅には妻と四歳になる娘がいる。この時間では娘はもう寝ているだろう。     
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