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そろそろ第一試合が始まる。まずはAブロックの第一試合。
2年1組対3年3組だ。去年と一昨年の同級生たちがいる風景に苦笑いしながらBブロック控え室で観戦する。モニターを囲むトーナメント出場者たちは試合開始を今か今かと待ち望んでいた。
「あの子去年のクラスメイトなんだけど、すっごいコントロールいいんだよ」
そうサラに行った後実況が選手紹介で同じようなことを言うので少し恥ずかしくなった。
試合開始の鐘の音がなってすぐの出来事だった。
対戦者同士が見合う広いフィールドのど真ん中で何かが爆発したのだ。
どちらかの先制攻撃の可能性もあったがどちらのチームも状況が飲み込めず砂煙の立つフィールドをただただ見つめていた。
煙が晴れて行くと中心に誰かがいるのが確認できた。
その姿を確認したものが思わず悲鳴をあげる。
完全に煙が止むと会場全体から悲鳴が上がり観客席は逃げ惑う人々で混乱していた。
煙の真ん中にいたのは人型のもの。青白い肌に真っ白な髪の毛。金色の目。黒いプロテクターのような服に先の尖った尻尾。
「・・・悪魔」
Bブロックの控え室でも悲鳴が上がった。
国の指定駆除生物である悪魔はこの国の郊外に住んでいる元国民だ。
禁忌を犯し処刑されたものの魂が天に昇ることなく再び肉体をもった姿である。
一度死んで蘇るゾンビとは異なり知性もあり魔法も使え能力の高いものが多い。
生前の記憶は封印されているのか覚えていないものが多い。
駆除生物に指定されてるのは、基本的には国民には害であるためだ。
悪魔である時点で討伐対象となる。それが子供でも。
フィールドにいる悪魔はキョロキョロと周りを見回し何かを探しているようだったが見つからないのか駄々をこねるように暴れる。
先生たちは生徒の避難誘導、警備に当たっていた兵士が観客の誘導を進めている。
「みんな無事ね!避難するわよ!」
控え室に飛び込んで来た先生に言われるままみんなは避難を始める。私もその流れに乗ろうとしたがサラがモニターから離れないことに気づいた。
ドンッ
ちょうど大きな爆発があり身を固くする。サラを見ると怒っているような困惑しているような顔をしてモニターを見ていた。
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