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気を紛らわせようと自分の荷物に手を付けようとした瞬間。
ビーー、ビーー、
と訪問者を伝える鐘がなった。
誰だと思いつつ、入口にむかうがいくらなんでももう聞こえてるに決まってんだろう!と言いたくなるほど何回も続けて呼び鈴を鳴らす訪問者に、
「はいはい、どちら様ですか?」
と言いながら引き戸をひく。
「はぁ、はぁ、李人!」
となぜかわからないがすごい勢いで息を切らしている副委員長の昇の姿がそこにあった。
「え?なんで昇がここに?!」
驚きを隠しきれずに大きい声を出してしまった。
「どうかしましたか?」
と部屋から荻原が出てきた。
荻原に昇が来た事を伝え、息切れをしている昇の背中を落ち着かせるように擦る。
「そんなに慌てて瑞中先輩何かあったのですか?」
と荻原はそれに気づいてるらしいく、楽しそうな笑顔を顔に貼り付けて昇に質問した。
「何かあったって?お前が一番わかってんじゃないのか?」
と昇は低い声で荻原に突っかかった。
「ふふ、やはりあそこに居たのは先輩でしたか。」
と大変愉快そうに言った。
こいつの雰囲気から察して確信犯であるんだろうなと思った。
「おい、荻原、昇も。何だよ。俺だけ話の脈略が掴めないんだが。」
と二人に聞くと
「見られていたんですよ。さっきの。」
と俺に荻原が言った。
「え?見られてったて、さっきのか?!」
と驚きと羞恥でまたもや大声が出てしまった。
昇の方を見るとうんうんと頷いた。
「別に、好意で覗いてたわけじゃないけど。」
昇はそう付け足すように言う
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