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あーあ。
私のことそっちのけでギター教室始めちゃうし……でもギター弾いてる先輩はかっこいいけど。
「今日はここまでな!ギター持って帰って自主練しろ」
「えっいいんですか!?あ…でも俺んちでギター弾いたら苦情来るかも……それに置いとく場所ないから、ユカにバレるし……」
「コード押さえる練習ぐらいは出来んだろ!どんだけ頑張ってもマトモに弾けるまで一ヶ月はかかるぞ!?」
「う……と、とりあえず来週取りに来てもいいですか!?」
えー来週も来るの!?
蜂谷くんが帰って、やっとふくれっ面の私に気付いた先輩……。
私のことなんて本当どうでもいいんだって泣けてくる。
「…鈴木?怒ってる?」
ぷいっと顔を背けるけど覗き込まれる。
そしたら後頭部に手が回って胸の中に引き寄せられた。
「バカ…何泣いてんだよ?」
バカとは何よ!?
それにその気もないのにまたこういう激しいスキンシップ…!!
「……先輩、ユカさんに未練タラタラなんだもん……私に興味ないなら、もう構わないで……」
「誰が興味ないって?ユカの事はもうスッキリしたって言っただろ?」
「だって……こないだキスしてから何も言わないし、会社でもフツーだし、今日だって私から誘っただけで……」
「お前、俺のおかげで自分からいけるようになったって言ってたじゃん。俺だって待ってたんだけど?」
え……何それ?
私次第ってこと??
「…じゃあ私が付き合ってって言ったら、付き合ってくれるの…?」
先輩は少し目を見開いた後、はーっとため息をつく。
「……やっぱり覚えてないんだな。キスした後のこと」
……え?
そういえばあの後、恥ずかしくなってまた飲んで……その後どうしたんだっけ?
気付いたらタクシーで家まで送ってもらってたけど……。
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