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「男が抱きたくなるほどのオンナ……なんだろ? その手の好色家なんか探せばゴロゴロいるものさ。それこそ海賊のオンナを欲しがる金持ちは腐るほど、な」
骸の言葉に、男たちの喉が鳴る音が聞こえる。
『ちょろいもんだな……』
骸は思った。
ガルドの船員なら、船内の事を把握した上で、計画を練ることができる。
男どもの中で渦巻く『蘭を抱きたい』欲望と、『金を手にしたい』願望を、少しだけ刺激してやればいい。
男どもに弄ばれた後の蘭を、蔑みながら抱いてやるのも、また一興だ。
「今晩なら……何とかなるんじゃねぇか?」
「おい!」
ついにそう言った男の一人に、もう一人が驚きの視線を向ける。しかしその視線は少し戸惑うように揺れていた。
その戸惑いは禁忌を犯そうとしている後ろめたさではない。欲望を本当に満たせるかどうかの期待に満ちていた。
「今晩は定例で船長と副船長が話し合いをしているはずだろ? そうしたらあいつ……部屋に一人でいるんじゃねぇか?」
「お前忘れたのか? あいつは一人でガルドの主要戦力をほとんど潰した男だぞ? いくらオンナにされていても、俺たちのかなう相手じゃねぇ」
心底恐れたようにそう呟いた男に、骸は内心驚いていた。
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