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蘭は戦略や戦い方を組み立てることに長けていた。骸には癪であったが、他の海賊たちからは『マリスをつぶしたけりゃ、蘭を殺せばいい』と言われていたほどだ。
あれほど劣勢の戦局において、蘭はガルドを圧倒し、畏怖を抱かせる程の戦いをしたらしい。
骸の知る蘭は、細身のくせして、相手にひるむことなく突き進む豪傑でもある。
しかし、骸とてここで引く気はない。
先刻、蘭と会って、骸は確信していることがあった。それを素直に口にしてみる。
「そんなにお気に入りの『オンナ』なら、相手はさぞかし可愛がっているんだろう? それこそ毎晩、溢れるくらいにケツに精を注がれてよがり狂わされて……。お前たちが襲い掛かっても、そんなんじゃ抵抗する力なんて残っていまい。しかも、剣も取り上げられているだろうしなぁ」
先程の蘭……それは、骸の知るいつもの蘭の半分ほどにも力が無かった。あれほど簡単に、骸の胸中におさまる奴ではない。
そもそも女の身体と同じように、男を扱うのだ。男を受け入れる性交は、かなりの負担を強いるはずだろう。おそらく今の蘭を捕えることは、さほど難しいことではない。
「寝込みを襲って縛りつければいい。簡単だろ?」
しばしの沈黙……そして、
「本当に、処分してくれるのか?」
そう問うた男の瞳は、引き返せない闇に身を投じたそれだった。骸は口元に深い笑みを浮かべた。
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