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8th
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同じ男なのに、
こんなにドキドキするものなのか。
じゃ、と言って二人が特別教室に消えた今
トイレの鏡の前で冷静さを取り戻そうと必死の俺がいた。
あれが智希にいちゃんか…
優のやつ、毎日抱きついて
頭撫でられながら寝ていたのか、
と考えていくうちに
その話を聞いた時の興奮とも呼べる感情が
ふつふつと湧き上がってきた。
気づいたら半勃ちになりかけてるそれを
見て見ぬふりをして違うことに意識を集中させようと努力する。
何十分いただろうか。
教室に戻る気にもなれず、
俺は吉田だから面談はまだあとだし、
トイレで携帯をいじっていた。
すると、トイレのドアが開き
「あれ?戻ってなかったのかな?はるとくん?」
さっき聞いたばかりの声が後ろからして
振り向いてみれば
この数十分俺の頭から離れなかった
智希にいちゃん
がいた。
彼の話し方は語尾全てにハテナがつくような、
柔らかくて優しい、そんな口調だった。
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