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10th
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そのまま手が下に下がってきたと思うと
優しく俺の頬をさすって、
「君、ーー」
「おーい晴人ー!母ちゃんきてるぞー
おれは腹いてー。
あ、智希にいちゃんもう帰ってダイジョイブだよー。」
ちょうどのタイミングでトイレのドアが開き
優が入ってきて、言い捨てたかと思うと
個室に消えていったのだ。
智希にいちゃんは、何を言いかけたのだろうか。
そればかりが気になってしまい動けない。
急な展開に驚きもせず、
智希にいちゃんは頬から手を離すと、
「続きはまた今度、ね?」
と耳元で囁き、
俺の制服の胸ポケットに
一枚の紙をいれて去っていった。
ふっと近づいた時一瞬香った
香水でもなくシャンプーのような自然な香りが鼻先に残ったまま、
心臓がバクバク言ってるのを感じていた。
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