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ずっと昔のことである。
友人達と共に、離島へ行った。観光である。
宿は民宿、新しくはないが小綺麗なところだった。
部屋に荷物を置いて、しばし茶を啜りながらまったりとした時を過ごす。
取り敢えず夕飯まではすることが無い。友人は買い物へ出て行った。
民宿のなかを見て回ろうと部屋を出る。
入る時には気付かなかったが、正面に、下の階段があった。灯りも点いていないところを見ると、従業が使うか、もしくは誰も使わない部屋でもあるのだろうか。
少し迷って、その階段を降りていく。
直ぐに扉は現れた。
その階段はまるで、その部屋だけの為に作られたかのような作りになっていた。その一つの扉以外何もない。
そしてその扉は、あからさまなほど開かずの間であった。
札が隙間を埋め尽くす様に貼ってある。
開けてはまずいのだろうが、どうしても気になってしまった。
丁寧に札を剥がし、そっとドアノブを回す。
ほんの僅かな隙間が開いた時だった。
何かが出てきた。
気がするだけかもしれないが、何か、大量に、
そっと中を覗くと、特に何もない座敷だった。
何事もなかったかのように扉を閉め、札を元どおりに貼り直した。
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